第25回「うまくいくんかいな? アベノミクス」

2013年07月02日
ゲスト 浜矩子さん(エコノミスト、同志社大学大学院教授)
パーソナリティ 石丸次郎(ジャーナリスト)
テーマ うまくいくんかいな? アベノミクス
放送日 6月29日(土)〜7月2日(金)(収録日:6月20日)
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■バブルの“舞い上がり感”が危ない

アベノミクスを“アホノミクス”、さらに“ドアホノミクス”と痛烈批判する浜矩子さん。「これですべてうまくいくと言わんばかりの傲慢さ、そして“3本の矢”といった、芝居がかったキャッチコピーで不誠実な政策だ」と容赦なく糾弾します。

アベノミクスの効果があってか、株高や円安の傾向が見られますが、この点についても浜さんは、毒をもって毒を制すという危険な流れと指摘します。「バブルで“舞い上がり感”を作り出す。本質的な問題を隠蔽しようとするマヤカシ大作戦だ」。

ラジオフォーラム

「アベノミクスは古臭い発想が目立つ」と断ずる浜さん

■日本に必要なのは“分かち合いの経済”

もし自分が首相でアベノミクスならぬ“ハマノミクス”を打ち出すならばー。そんな仮説で、浜さんは「成長から分配へ」「奪い合いから分かち合いへ」「中央から地方へ」を柱にしたいと語ります。

日本経済の豊かさの一方で広がる貧困を解消し、富をどう分配していくかが大きなテーマとする浜さん。具体的な例として、“金持ち増税”や高額商品の税率を上げ日用品については下げる消費税の施策など。

「世界一や世界最先端を目指すというのは奪い合いの発想。多くの人々に豊かさに行き渡るようにすれば、もっとお金を使えるようになるかもしれないし、結果として経済成長につながるかもしれない。排除ではなく、より多くの人々を包容することが活力ある経済社会のあり方だ」。

■過去を取り戻すのではなく、今の成熟経済を楽しむ

育ち盛りから“大人の経済”に成熟している日本。そんな中で「日本を取り戻す」というキャッチコピーを掲げる安倍総理ですが、その言葉が後ろ向きだと指摘します。

「現状は停滞ではなく、落ち着き。過去の姿を再現したいという願いから卒業し、いかにこの豊かな経済社会を味わうか、その視点がないと前に進めない」。

ラジオフォーラム

貧困や格差問題に対応できる経済社会を提唱する浜さん

■おかしいじゃないか、というメッセージを

一方、株価や為替相場が乱高下するなど、アベノミクス効果の雲行きに早くも怪しさが。「市場からのNOの現れ。これに反抗するため、何でもやりますの成長戦略を繰り出し、それにお付き合いください、というところだろう」と今後を見通します。

浜さんは「庶民にできることはまず、バブルに舞い上がれというメッセージを無視すること、おかしいじゃないかと意思表示すること。これが今でできる最も効果的なこと」と訴えました。

■北朝鮮に核開発は作れるのか? – 小出裕章ジャーナル

小出裕章ジャーナル第25回

京都大学原子炉実験所の小出裕章さんによるレギュラーコーナー「小出裕章ジャーナル」では、北朝鮮の核開発疑惑について。同国は2006年、2009年、2013年に核実験の実施を発表しています。

小出さんは、北朝鮮での核兵器の存在には懐疑的です。「1992年の時点で、核兵器の材料となるプルトニウムを抽出する施設が同国にはなかった。北朝鮮に核兵器はありえないと思ってそう発言してきた」。

1992年以降、十数年の間に開発能力を付けたと考られるものの、それでも抽出できたプルトニウムはわずかで、スウェーデンのシンクタンク・ストックホルム国際平和研究所が発表した調査では、北朝鮮の核弾頭保有数は6〜8発。「7,700発保有する米国と比べれば、数も規模も話しにならないほど」とします。

一方、核実験を実施したと発表している点については、「核実験を本当に実施していたとしても、かなり小規模なものだろう。技術開発などは進んでいるとは思うが、核兵器開発はそう簡単なものではない」と、改めて核保有に疑念を示しました。

■ブラック企業と決別を – NPOはたらぼの取り組み

ラジオフォーラム

良質な労働環境の企業を可視化するはたらぼの取り組み
(5月11日付読売新聞夕刊より)

もうひとつのテーマはブラック企業。長時間労働やサービス残業、パワハラ・セクハラを強いて、労働者の権利を踏みにじる企業の存在が、社会問題化しています。その現状について、問題の解決に取り組む活動を始めたNPO法人はたらぼ(大阪市、認可申請中)の代表理事・中嶌聡さんにお電話をおつなぎしました。

中嶌さんブラック企業の特徴として、労働基準法などの法規を守らないことに加え、力関係が企業側に大きく傾き、労働者が不利益を強いられている状態を上げます。

8月から活動の本格スタートを目指すはたらぼ。その活動の趣旨はブラックではない企業の可視化です。具体的には、労働条件を明示するなど、いくつかの条件を明文化した「雇用基本宣言」を打ち出し、きちんした企業を認証。「そうした情報を求職者などに提供し、ブラック企業に人が行かないようにする。結果としてブラック企業を淘汰していく。そうした取り組みを目指したい」と語りました。

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