第24回「従軍慰安婦問題を考える」

2013年06月25日
ゲスト 趙博(チョウバク)さん(歌手)
池田恵里子さん(女たちの戦争と平和資料館館長、電話出演)
パーソナリティ 西谷文和(ジャーナリスト)
テーマ 従軍慰安婦問題を考える
>>アーカイブ >>サマリー >>関連キーワード


YouTube上で聴く場合はこちら
※リンクをクリックするとYouTube上で頭出し再生します

04:15 小出裕章ジャーナル/プルサーマル計画の問題点
13:41 日本の慰安婦制度の実態
30:06 橋下発言の背景と波紋
44:25 過去に向き合う姿勢とは
56:08 エンディング

5月13日、日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長が「従軍慰安婦は必要だった」「沖縄の米軍には風俗を活用してほしい」などと発言しました。一部の発言については撤回・謝罪したものの、「慰安婦について過度に日本が批判されることはおかしい」などと持論を展開し続け、国内外から非難が相次いでいます。

この事態を受け、第24回は一連の橋下発言や政治家の歴史認識をテーマに取り上げました。ゲストは、歌手の趙博(チョウバク)さん、戦時性暴力や慰安婦問題の被害と加害の資料を集めた日本初の資料館「女たちの戦争と平和資料館(wam)」館長の池田恵里子さん(電話出演)。パーソナリティはジャーナリストの西谷文和。

ラジオフォーラムの収録

■橋下発言の論拠の誤り
軍による慰安婦の強制連行は明白な事実とする池田さん。「1991〜93年にかけて、政府が調査した資料に強制連行を示すものがなかったというのが橋下氏の論拠だが、その調査がそもそも不十分であり、その後もさまざまな資料が出てきている。調べればすぐわかるそれら資料を、全く無視している」と厳しく批判します。

また橋下氏が世界各国で国を挙げた慰安婦制度があったとしている点についても疑問を投げかけます。「今確認されているのは、ナチスドイツと日本のみ。とりわけ日本は政府と軍が中心となって、組織的かつ長期にわたって大規模につくった、前代未聞の制度」と指摘しました。

慰安婦の方々の来日時のインタビュー音声を交えつつ、慰安婦たちがどのように連行・監禁され、どのような扱いを受けたのか、その実態について池田さんが解説。「我々は仮に慰安所と呼んでいるが、日常的に強姦が行われており、国際的には“レイプセンター”と呼ぶべき場所だった」。

■過去の歴史との向き合い方
朝鮮学校への補助金カットや震災瓦礫受け入れへの反対など、橋下市政に対決姿勢を貫き、歯に衣着せぬ批判を続けてきた趙さん。

ラジオフォーラム第25回

一連の橋下発言について「まず勉強すべき。そして事実を事実として認めること。それがなければ議論にもならない」と痛烈に批判。

また国民のレベルでも、従軍慰安婦問題について議論を深めてこなかったとも問題の原因にあるとします。「わかりやすい言い方になるが戦前、女性に選挙権がなかったことを当たり前だと言えば、みなとんでもないと思うだろう。ところが、今回の発言では国民レベルの批判がまるで起きない」。

■日本は右傾化している?
最近、日本が右傾化していると言われています。この点については趙さんは、いわゆる右翼的な思想をもつ人々は社会に一定おり、増えたわけではないとし、「かさぶたが取れたようなもので、表立って出てきたということ。それらへの対抗軸が弱くなってしまっているということ」。

以前であれば、辞任が取り沙汰されたり大規模な抗議が起きていたりしたであろう、一連の発言。「事実を捉え、謝罪することは何も恥ずかしいことではない。しかし過去の過ちを謝罪して、新たな関係を構築するという文化が未だにない」として、謝罪や責任の所在を曖昧にする傾向を問題視しました。

■危険なプルトニウム利用策・プルサーマル – 小出裕章ジャーナル
京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんによるレギュラーコーナー「小出裕章ジャーナル」では、プルサーマル計画とMOX燃料について。

通常の原子炉で、プルトニウムを燃料として使うというプルサーマル技術。その燃料となるウランとプルトニウムの混合物・MOX燃料をフランスから高浜原発へ海上輸送、6月末に到着すると関西電力は発表しています。(※6/25追記/高浜原発へのMOX燃料搬入は6/27予定との報道がありました)

高速増殖炉もんじゅの燃料としての使用を想定してきたプルトニウムですが、もんじゅは未だ実用化に至らず、溜まる一方のプルトニウムの活用策として登場したプルサーマル計画。小出さんは「日本は国際社会から評価されていない。平和利用と言いながら、プルトニウムを懐に入れ続けてきたからだ」と語ります。

プルトニウムの貯蔵量は現在45トン。長崎型原発が4,000発製造できる量です。小出さんは「使い道のないプルトニウムを持たないという国際公約があるため、経済的に損をする、危険性もわかっている上で、無理矢理にでも消費しなければならないところまで追い込まれてしまった」。

またプルサーマルから排出される使用済み核燃料には、プルトニウムをはじめ半減期が長い「超ウラン元素」という放射性物質を含みます。「取り扱いが大変やっかい。どう再処理するにしても何十年にもわたって原子炉内で冷やさなければならず、大きなツケを子孫に残すことになる」と、その危険性を指摘しました。

ラジオフォーラムのキーワード検索
TPP アベノミクス イラク シリア ブラック企業 ヘイトスピーチ 吉田調書 大阪都構想 太平洋戦争 安保法制 安倍政権 改憲 日航機墜落事故 汚染水 特定秘密保護法 辺野古 集団的自衛権
>>キーワード一覧はこちら
ラジオフォーラムのアーカイブ
小出裕章ジャーナル