第36回「石丸&西谷の北朝鮮・アフガン最新取材レポート」

2013年09月16日

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パーソナリティ 石丸次郎西谷文和(ジャーナリスト)
テーマ 石丸&西谷の北朝鮮・アフガン最新取材レポート
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ラジオフォーラム

西谷(左)と石丸(右)がアフガン、北朝鮮での取材をそれぞれレポートし合います。(※写真は第12回収録の様子)

■経済不振で不満が高まる北朝鮮国内

今回は、石丸次郎と西谷文和のWパーソナリティ。石丸の北朝鮮、西谷のアフガニスタン、8月に行った取材の成果をそれぞれレポートした。

20年前から中朝国境へ取材で通う石丸。北朝鮮国内では監視が付き自由な取材ができないため、北朝鮮国境に接する中国国内で脱北者らを取材する方が、かえって北朝鮮国内の状況がつかめるという。

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新たに設置された鉄条網。豆満江下流の琿春市にて7月31日撮影。対岸は北朝鮮の咸鏡北道セッピョル郡と思われる。(写真 パク・ヨンミン/アジアプレス)

金正恩体制の北朝鮮国内での評判は芳しくない。その理由は経済状態だ。計画経済が破綻し、庶民の暮らしを支えるのはもっぱら闇市。おのおのが自主的に商売をして食べていくのが現状である。「金正日死後の体制交代期で、こうした “市場経済”を支えるモノの移動、物流への締め付けが強まった。生活が悪くなり不満が高まっている」。

■「政治体制がダメ」はもう世間の常識

現在の北朝鮮の人口は約2,000万人。インターネットに接続できるのは1万人程度、ひと握りの特権階級だけだ。その一方、携帯電話はまたたく間に普及し、200万人以上が利用しているという。「国の配給に頼らず自活するには情報が大事。携帯電話は商売に活用できる。新しもの好きの若者も普及を後押しした」。

携帯電話の普及は体制にとって脅威のはず。しかし携帯も使えなくては投資を呼び込むこともできず、また通信インフラとして必要でもあり、やむにやまれず認めているのだ。「盗聴されていることが前提で、通話で政治的な話はしない。また端末を購入する場合は個人情報の提示が義務付けられているが、販売者に金銭を渡して他人名義の携帯を手に入れる<飛ばし携帯>、あるいは2、3台所有することも流行っている」。

また南部の地域では、中国から合法的に輸入されたポータブル型テレビで韓国側のテレビ放送が受信でき、視聴する国民も多い。「いくら統制しても情報は入ってくる。同じ社会主義を標ぼうする中国やベトナムが改革開放で経済発展を遂げているのは既に知られているし、我が国だけが貧しく遅れているのは、原因が政治体制にある。これは常識になりつつある」。

■歌手の公開処刑、ボルノ取り締まり。その真の思惑とは?

韓国紙「朝鮮日報」は8月末、金正恩氏の元交際相手として取り沙汰されたことのある歌手の玄松月(ヒョン・ソンウォル)さんを含む北朝鮮の芸術家11人が、ポルノを制作・販売した罪で20日に公開銃殺されたと報じた。

この事件に関し、内部の人々とともに取材を続けている石丸は、事件は事実らしいとしながらも、ポルノではなく正恩氏に関する映像作品が広まっており、その取り締まりが真相だという。「正恩氏のプライベートや生い立ちが流出してしまうのは、大変な政治問題。ただその取り締まりとなると、逆に人々の好奇心をかき立てているしまうため、名目はポルノ規制。映像を観ることを徹底的に取り締まっている」。

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豆満江沿いを走る道路に設置された鉄条網。豆満江下流の琿春市にて7月31日撮影。(写真 パク・ヨンミン/アジアプレス)

■クーデターの可能性はゼロ…しかし変化の兆しも

北朝鮮の体制は徹頭徹尾、金ファミリー支配を純化させてきたと指摘する石丸。少しでも異を唱えれば、たとえ軍の幹部であっても粛清の対象になる。「幹部の方がむしろ監視が厳しい。将校クラスや党の幹部は30分ごとの行動記録を提出させられるほど。体制内部からクーデターが起きる可能性はゼロに等しい」。

一方、民衆レベルでも、デモや騒動の話を聞いたことがあるか問うてもただのひとりからもイエスの返事がないという。石丸は「本当にないのが実際。しかし民衆の心は変化してきているし、変化しなければ国が保たないと皆が口にする。体制の弱体化は進んでおり、変化は徐々に進んでいくだろう」。

■兵器が子どもたちを傷つける…今も続く悲劇

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西谷は8月半ば、アフガニスタンのカブールでの取材をレポート。傷ついた子どもたちをチャーター機でドイツへ輸送して治療し、治癒したら本国アフガニスタンへ送り届ける活動に取り組むNGO「ドイツ国際平和村」を追った。

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貧困で普通の家に住めず、地面に穴を掘ってそこで火を起こしお湯を沸かす。暖かさを求めて近づいた子どもがそこへ落ち、大火傷を負ってしまう(撮影 西谷文和)

アフガンの子どもたちの怪我で多いのが火傷。「戦争による貧困で普通の家に住めず、地面に穴を掘ってそこで火を起こしお湯を沸かす。暖かさを求めて近づいた子どもがそこへ落ちてしまう事故が多い。またインフラが破壊され衛生状態が悪いため、骨髄炎の発症も多い」。

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米英軍が仕掛けたとみられるペン型の爆弾で、顔と右手に大けがを負った少年(撮影 西谷)

米英軍が仕掛けたと見られる、ペンに似せた爆弾で指や顔に大けが。タリバンによる地雷で両足に大けが。戦争が原因のけがで、多くの子どもたちが苦しめられている。「治療がままならず、6人に1人は1歳未満で命を落とす。こうしたけがや病気は致命的で、ドイツで治療を受けられるのは幸運だ」。

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タリバンが仕掛けたと見られる地雷で両足に大けがを負った少女(撮影 西谷)

■格差拡大のアフガン。国際社会のさらなる関心を

貧富の格差も拡大している。戦争で破壊した街を復興資金で建て直すのはアメリカ系企業と国内子会社。一部が戦争成金として富を得る一方、その他多数が1日1ドル以下の生活を強いられる。「アメリカにべったりのカルザイ政権の汚職。復興資金の大部分は政権閣僚の懐に入る。病院や難民に届いていない」。

西谷は「報道が下火となり、関心も低くなっている。私のような現地に入るジャーナリストの情報を得て、それぞれに何ができるのか考えてほしい」と訴える。

混迷を深めるシリア情勢。アサド政権による化学兵器の使用が取り沙汰され、アメリカが制裁をちらつかせたことで、にわかに国際的な関心が高まった。しかしこの内戦ですでに、10万人の犠牲者が出ている。石丸は「アフガン同様、国際社会の関心が必須。そのためにも我々のようなジャーナリストが取材を続けていかなければならない」と応えた。

■安倍総理IOCプレゼン「汚染水完全ブロック」の嘘 – 小出裕章ジャーナル

2020年東京五輪開催を決定したIOC総会で、プレゼンテーションに立った安倍晋三首相は「汚染水による影響は福島第一原発の港湾内0.3平方キロメートルの範囲内で完全にブロックされている」と発言。小出さんは怒りを交え「まったくの嘘」と断言する。


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