ゲスト | 広瀬隆さん(作家、反原発活動家) |
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パーソナリティ | 今西憲之(ジャーナリスト) |
テーマ | 脱原発・ドイツの廃炉事情レポート |
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■長い道のり – ドイツの廃炉事情
ドイツでは日本に先駆けて、2022年に原発をゼロにすることを目指しています。広瀬さんは3月、俳優の山本太郎さんを含む週刊朝日の取材班に同行、同国の脱原発の現状を取材されました。
視察先のドイツ北部、グライフスヴァルト原発では95年から全8基の解体が行われています。これまでの20年に加え、本体となる原子炉は全体が放射性廃棄物と化しており、解体着手までにさらに50年がかかるといいます。
廃炉に関してはドイツが先輩で、学ぶべき点も多いはず。しかし福島第一事故に際し、ドイツの電力会社が寄せた協力の申し出を、東電は断ったと広瀬さんは明かします。「先人に知恵を借りて対応すべきなのに、ひどい話だ」と厳しく批判しました。
■日本特有の“原子力ムラ”が廃炉への障害に
実際に廃炉作業に当たるのは国が出資し、技術者を集めた国営企業。費用はこれまでの20年でおよそ2,000億円。旧東ドイツ側の原発の廃炉を一括して行う、いわゆる廃炉センターで、ロシアの原子力潜水艦の解体も行っています。「これから全世界で廃炉の時代。100基は廃炉に向かう。ヨーロッパではこれが新たなビジネスチャンスとなっている」と広瀬さん。
また日本とは違い、電力会社と地元との経済的な結びつきがドイツにはない、といいます。「バラマキの交付金はなく、原発を建てても事業税が入るくらい。地元の雇用を支えるのは自治体の仕事で、電力会社に地域経済を支えようという意識はない。電力会社も一般企業と同じ感覚ということ」とし、広瀬さんは日本の“原子力ムラ”の異常さと地元の原発依存の高さが廃炉への障害になっていると指摘しました。
■ドイツもモデルとは成り得ない? 処分場の地獄
廃炉によって出た高レベル放射性廃棄物の処分する最終処分場。広瀬さんは処分場やその予定地となっている3箇所を取材しました。
すでに中・低レベル廃棄物処分場となっているアッセでは、廃棄物を詰めたドラム缶が“放り込まれている”状況を目撃。「唖然とした。食塩を取るために掘られた岩塩層の穴に投げ込んでいる状態で、今は雨水や地下水が入り込んでしまっている。福島第一の状況を思い浮かべ、打ちのめされた」と、広瀬さんは落胆を隠しません。
このため国民からは猛烈な反対が起きており、広瀬さんらが帰国後間もなくの4月9日、政府は処分場予定地・ゴアレーベンの計画を白紙に戻しています。
■日独の違い – 地獄を見ているか、見ようとしないか
「ドイツの原子力産業は着陸地がないまま飛び続けている飛行機だ」との言葉を現地で聞いた広瀬さん。「これは日独ともに同じ。違いは、一方は廃炉を決め待ち受ける地獄を見ようとしている、一方は見ようとしない、という点だ」と断じ、福島第一や廃炉、廃棄物の現実を見据えるべきだと訴えました。■溶け落ちた燃料の取り出しは実質できない – 小出裕章ジャーナル
6月27日、政府と東京電力は福島第一原発の廃炉工程の改訂版を公表しました。そのなかで1、2号機内のメルトダウンした燃料取り出しを2020年度前半に始めるとしています。
小出さんはこの工程を「まったく絵に描いた餅。燃料は非常に重く、それが塊か、あるいはあちこちにへばりついているという状態で全量回収は無理。わずかでも回収しようとすると大変な被曝になるため、実質作業自体ができないのではないか」と、強い疑問を投げかけます。
その上で、使用済燃料プールの底にある使用済み燃料をまず取り出し移すことが優先で、それを経た後、チェルノブイリ事故のように石棺で覆うという対策に移るとの見通しを示しました。
ゲスト略歴
広瀬隆(ひろせたかし)
1943年生まれ。作家、反原発活動家。早稲田大学理工学部応用化学科卒業後、メーカーの技術者を経て執筆活動を開始。医学文献等の翻訳に携わるほか、原発の危険性を説く書籍も多数。原発事故後、福島の人々に被ばくを強要したとして、勝俣恒久・東電前会長や班目春樹・元原子力安全委員長、福島県放射線健康リスクアドバイザーの山下俊一氏らを2011年7月8日、業務上過失致傷罪で刑事告発した。(出典:Wikipedia)
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- ドイツの原子力発電所(Wikipedia)
- 廃炉(Wikipedia)
- 震災から2年 世界の原発は今(2) ドイツ(NHK Online)
- 「廃炉より原発維持のほうが高コスト」ドイツ関係者が断言(日刊SPA)
- ドイツ-古きアッセ核廃棄物貯蔵施設の悩み(ちきゅう座)
- 福島第一原子力発電所1~4号機の廃炉措置等に向けた中長期ロードマップ(東京電力)
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- 放射性廃棄物(資源エネルギー庁)