第10回「オウム真理教事件は社会に何をもたらしたのか」

2013年03月22日

■ゲスト:森達也さん(作家、映画監督)
■パーソナリティ:石井彰(放送作家)
■テーマ:あえて…社会に異論を唱える
■音楽のたね(オンエア曲):『イムジン河』
 ※著作権の関係により、アーカイブ中の楽曲オンエアはありません
■放送開始日:2013年3月16日(土)(収録日:2013年3月6日)

■タイムライン
08:28 ニュースのたね/死刑制度の是非
18:39 小出裕章ジャーナル/原子力基本法と原発政策のゆくえ
30:06 はなしのたね/社会の集団化・同調圧力
44:22 ラジオのたね/朝鮮学校ええじゃないか! 春のモア・パレード


第10回は、作家で映画監督の森達也さんをゲストにお迎えしました。パーソナリティは放送作家の石井彰。

「はなしのたね」では森さんが、創作活動を通じて視線を向けてきた社会やメディアのあり方について語っていただきました。

ドキュメンタリー映画などで描いたオウム真理教事件では、事件の動機が明らかにならないまま松本智津夫被告の死刑が確定したことについて、精神鑑定や適正な司法手続きも経ておらず、法治国家として恥ずべきことだと断じました。

そして結果として不安や恐怖が社会に残ったと指摘。「それらが集団化し、ある一方の方向に突き進む。特定の集団を異質としてバッシングする。95年以降、そうした空気が強まったように思う」と述べました。

「ニュースのたね」では自民党が政権復帰後、2月に執行された死刑制度がテーマ。正確な情報が公開されないまま雰囲気で制度が支持されているという石井の指摘に、森さんは「さまざま論点があり一概には言えないが、死刑が犯罪の抑止につながるというのは根拠が薄い」とし、死刑制度がむしろ犯罪の凶悪化を助長している面があるとの考えを示しました。

森達也さん

京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんによるレギュラーコーナー「小出裕章ジャーナル」では、「エネルギー基本計画」を検討する有識者会議から、脱原発を表明する識者わずか2人となった点について。小出さんは「原子力基本法を何とかしない限り、流れを変えられない」として、会議も結論ありきであり原発推進は再開すると見通しました。

また森さんは「安全か安全でないかではなく、必要か不必要かの視点で原発を論じるべき」と指摘、小出さんは「原発がなければ電力が足りないという刷り込みがある。国家が強力に推進してきた結果だ」と返しました。

「ラジオのたね」では、3月24日(日)14時、大阪の扇町公園で開催される「朝鮮学校ええじゃないか! 春のモア・パレード」実行委員の黄貴勲(ファン・キ・フン)さんに電話をつなぎました。高校無償化から朝鮮学校だけが排除され、自治体からの補助も打ち切られている問題について考えるイベントで、黄さんは「人の感情によって人権が侵害される動きに危惧を感じる。朝鮮学校に実際に足を運ぶ。本や映像で紹介する。そういったことを通じて、実際を知ってほしい」と訴えました。

■参考リンク
死刑の執行について法務大臣臨時記者会見の概要(平成二十五年二月二十一日)
法務省検討会 死刑の在り方についての勉強会添付資料・議事録目次
法務省 (明治四十年四月二十四日法律第四十五号)

(昭和三十年十二月十九日法律第百八十六号)

■参考図書ほか
『死刑 人は人を殺せる。でも人は、人を救いたいとも思う。』(森達也著、朝日出版社)
『絞首刑』(青木理著、講談社文庫)

映画『311』公式サイト


次回11回放送は、全国的に注目を集める橋下徹・大阪市長の“政治とカネ”をめぐる疑惑に迫ります。ぜひお聴きください。

■放送開始:2013年3月23日(土)〜
■Web公開:2013年3月29日(金)
■ゲスト:阪口徳雄さん(弁護士、政治資金オンブズマン共同代表)
■パーソナリティ:石丸次郎(ジャーナリスト)
■テーマ:橋下大阪市長の特別秘書の情実採用疑惑

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