■ゲスト:西岡研介さん(ジャーナリスト)
■パーソナリティ:今西憲之(ジャーナリスト)
■テーマ:ふたつの震災が残したもの
■放送日:2013年6月8日(土)〜14日(金)(収録日:2013年5月20日)
■音楽のたね:ソウル・フラワー・ユニオン『満月の夕』
※著作権の関係によりアーカイブ中での楽曲放送はありません
■放送内容のサマリー
YouTube上で聴く場合はこちら
15:44 被災地取材の難しさ
30:03 友達をつくる – 被災地との関わり方
41:14 陸前高田市の被災と復興への課題
51:39 エンディング
第22回は「ふたつの震災がのこしたもの」と題して、ジャーナリストのをゲストにお迎えしました。パーソナリティは今西憲之。
西岡さんは、神戸新聞の記者として1995年の阪神・淡路大震災を、その後フリーランスとなり2013年の東日本大震災を、それぞれ取材し、ルポタージュ『』を出版されています。
■被災地の心をどう伝えるか
阪神大震災の経験から、「発災から間もない時期は、救助活動が大変なとき。記者という立場で何はもできないことはわかっていた」という西岡さん。東日本大震災では当初、足がすくみ取材に赴くことがためらわれたと言います。
自分で動かなければ、という思いで始めた被災地取材。取材地のひとつ、宮城県名取市ので出会った人々のエピソードなどをご紹介いただきながら、遺族の悲しみの前にどう向き合うべきか、自問自答を抱えながらの取材だったと言う西岡さん。
「筆舌に尽くしがたい悲劇だが、それだけに伝えないわけにはいかない。震災から2年経ち、今後遺族の方々の気持ちがどのように変わっていくか、伝えていくことが課題」と語りました。
■被災地との関わり方は友達をつくること
場所によってスピードに差が出ている復興。そのなかでも福島は原発事故の影響で、状況がまったく異なります。「宮城や岩手などは悲しみの中にありながら、次のステージが見えるが、福島は次が見いだせない」。
また阪神大震災と比べ、復興への取り組みにおいて東日本大震災では被災地が軽んじられているという印象をもつとして、「東京、中央にとって重要視されていないような印象。被災地との関わりとして絶えず意識し続ける、思いを馳せる、ということが求められていると思う」と指摘しました。
被災地の人にとって「自分は見捨てられていない」と感じ取れるだけでも、心の支えになるという西岡さん。「観光でもなんでもいいので、東北へ行って友達をつくる。そういう人間関係をつないでいくことが大切」と語りました。
■陸前高田の復興の現状
西岡さんの著書『ふたつの震災』の中にも登場された、岩手県陸前高田市の市議会議員・佐々木一義さんにお電話をおつなぎしました。
発災間もなく、自主的に市内で交通整理に取り組み始めた佐々木さん。街が壊滅しているなか「自分にできること何なのかと考えた。1日も早く、馴染みの場所へ誘導してあげたいという思いだった」と語りました。
また復興について「市民にもさまざまな権利、思いがあり、市役所職員も一生懸命取り組んでいるが、その調整が難しい」と、高台移転など復興と新たな街づくりの困難さを解説していただきました。
■原発と活断層 – 小出裕章ジャーナル
京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんによるレギュラーコーナー「小出裕章ジャーナル」では先日、福井県の高速増殖炉もんじゅで約1万点の機器点検漏れが見つかった問題について。
施設を運用する日本原子力研究開発機構だけの怠慢であるかのような報道に疑問を投げかけ、「これまで国の規制機関は何をしていたのか。ほとんど何もしてこなかった国も同罪だ」と、原子力行政の規制の甘さを批判しました。
これまで安全管理についてA評価を与え続けてきた監督官庁の文部科学省。ふげん、もんじゅといった新型炉は実用につなげられず、事故をたびたび起こすなど、不祥事が相次いでいます。小出さんは「どうしようもなくダメな組織にA評価など、マンガのような話だ」と断じました。
また日本原子力発電の敦賀原発2号機直下に活断層があるとの評価を、原子力規制委員会が下した件について。地震の多い日本において、原発を建設すること自体が間違いであり、また活断層と無縁な原発も存在しないと小出さんは指摘。
「これまで地震の揺れへの対策はあるとされてきたが、活断層の場合は土地が移動するため、影響はもっと直接的。すぐ原発を停止することが必要だ」と訴えました。
■関連リンク
・
・『』(Amazon)
・阪神・淡路大震災(Wikipedia)
・東日本大震災(Wikipedia)
・名取市閖上復興支援のブログ
・独立行政法人日本原子力開発機構
・高速増殖炉もんじゅ(Wikipedia)
・もんじゅ関連ページ(日本原子力開発機構)
・敦賀原発(Wikipedia)
・(Googleニュース検索)
・原子力規制委員会
(了)
■次回23回放送のご案内
・放送日:2013年6月15日(土)〜21日(金)
・Web公開:2013年6月18日(火)
・ゲスト:渡辺実さん(防災・危機管理ジャーナリスト)
・パーソナリティ:石井彰(放送作家)
・テーマ:南海トラフ地震〜東日本大震災・阪神大震災から学ぶこと
過去の放送はアーカイブページからお聴きになれます。