■ゲスト:石坂啓さん(漫画家)
■パーソナリティ:湯浅誠(社会活動家)
■テーマ:憲法について考える
■放送日:2013年6月1日(土)〜7日(金)(収録日:2013年5月15日)
■音楽のたね:Beenie Man feat.Janet Jackson『FEEL IT BOY』
※著作権の関係によりアーカイブ中での楽曲放送はありません
■放送内容のサマリー
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19:04 小出裕章ジャーナル/放射性廃棄物と汚染水処理のゆくえ
30:03 はなしのたね/改憲議論や橋下発言に見る危うさ
45:20 ラジオのたね/『はるまち』出版プロジェクト
52:52 エンディング
第21回は護憲の立場からの発言もされている漫画家のをゲストにお迎えしました。パーソナリティは社会活動家の湯浅誠。
■国民を縛る憲法 – 自民党改憲案
改憲議論の高まりから、テーマは「憲法について考える」。自民党が作成したは憲法改正草案は、大がかりな改定を示しており、その評価が問われています。
この草案の印象について石坂さんは「現憲法と性格が全く変わる。国民が主体の現憲法とは逆に、草案は国や政治家が国民を縛る内容」とし、国民の自由と権利を限定し、義務と責任、または愛国の精神を背負わせようとするものと指摘しました。
現行憲法でも条文解釈の幅が広がっており、草案は国民にとって不自由な解釈がなされる懸念もあります。石坂さんは「自衛軍の設置も謳われている。正規軍をもつことにどれだけの国民が具体的なイメージを持っているだろうか」と疑問を示しました。
■橋下発言は戦時中の軍部と同じ
また日本維新の会共同代表のによる、従軍慰安婦や沖縄の在日米軍幹部に風俗業の活用を勧めた発言について。石坂さんは橋下市長の発言はまさに戦時中の軍部の思惑と同じで、その下で慰安婦のシステムが構築されたと指摘。
「こうした発言が登場することに、社会に戦時中の空気感が漂っているような印象を感じる。戦後、文化的に進展してきたにも関わらず、一気に逆行してしまった」と危惧。湯浅は「橋下発言にせよ、安部総理の改憲姿勢にせよ、国際的な孤立を深める動き。思考が内向きになる危うさを感じる」と答えました。
■96条改正の思惑
「ニュースのたね」では、憲法96条改正の問題について。96条は衆参両院の総議員の3分の2以上の賛成で国会が発議し提案、その承認には特別の国民投票で過半数の賛成を必要とすることを定めています。
自民党は憲法改正草案において、総議員3分の2を2分の1に下げることを提言、改憲の端緒とする姿勢を示しており、参院選の争点になると言われています。
石坂さんは「筋書きが本末転倒。96条改正は国民が求めたわけではなく、議員たちが自身への憲法の縛りを緩めたいということであり、きちんとしたルールとは言えない」と指摘しました。
日本国憲法は改正が難しいこと、憲法について国民の意見を反映しやすくすることを理由とした96条改正案。湯浅は「改憲での国会のハードルを下げる、改憲では国会が邪魔だというのは、国会の自己否定ではないか」と疑問を呈し、石坂さんは「まず96条を変えることで、国民の改憲への抵抗感をにぶらせる。その狙いが透けて見える」と指摘。
各国の憲法の改正要件を見ても、必ずしも日本の憲法が変えづらいと言えず、石坂さんは「これまで憲法は変える必要がなかったということ。この96改正で誰が得をするのか、注意して見ることが必要」と訴えました。
■放射性廃棄物と汚染水処理のゆくえ
京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんによるレギュラーコーナー「小出裕章ジャーナル」では、基礎知識編として放射性廃棄物について。
使用済み核燃料をはじめとして、さまざまな形で残る“放射能のゴミ”。汚染水もそのひとつで、それを海に流すのはやむを得ないのかという石坂さんの問いに、小出さんは「難しい質問。深い遮水壁を建屋周辺に設置し、地下水との接触を遮断することを私は訴えてきたが、その対策なされなかった。地下水と汚染水が混然としてしまっており、近い将来、海に流す以外なくなるだろうが、今からでも遮水壁を設置し汚染水を減らすべき」と対策の必要性を指摘しました。
漁業関係者は漁を再開することができず、小出さん「もっともっとこの現実を多くの人に知ってもらいたい」と訴えました。
また放射性廃棄物の処理方法が確立しておらず、“トイレのないマンション”とも喩えられる原発。この輸入に積極的な国があることについては、核武装の思惑があるからだと小出さんは指摘しました。
■生活保護の実際を伝える
さまざまな社会活動やイベントを紹介する「ラジオのたね」では、生活保護の真実を伝える雑誌『はるまち』出版プロジェクトについて、同編集部の小林さよさんにお電話でお話をうかがいました。
『はるまち』は、生活保護について人生を支える大切な制度であることを広げるために創刊。悪いイメージだけが先行している受給者の生の顔にもクローズアップしています。創刊準備号が100円で販売されており、8月には創刊号が発売される予定です。
■関連リンク
・日本国憲法第96条(Wikipedia)
・日本国憲法改正草案(自民党、PDF)
・日本国憲法改正草案Q&A(自民党、PDF)
・憲法改正議論(Wikipedia)
・従軍慰安婦をめぐる橋下氏発言(朝日新聞デジタル)
・放射性廃棄物(Wikipedia)
・(Googleニュース検索)
・放射性廃棄物と地層処分のホームページ(資源エネルギー庁)
・生活保護の真実を伝える雑誌「はるまち」プロジェクト(サステナクラウドファンディング)
・『はるまち』への問い合わせ
〒151-0063 東京都渋谷区富ヶ谷1-46-7 プレミアブラン代々木公園706 サステナ気付
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(了)
■次回22回放送のご案内
・放送日:2013年6月8日(土)〜14日(金)
・Web公開:2013年6月11日(火)
・ゲスト:西岡研介さん(ジャーナリスト)
・パーソナリティ:今西憲之(ジャーナリスト)
・テーマ:ふたつの震災が残したもの
過去の放送はアーカイブページからお聴きになれます。