ゲスト | 内田聖子さん(アジア太平洋資料センター事務局長) |
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パーソナリティ | 石井彰(放送作家) |
テーマ | ウソと秘密のTPP、交渉の内実に迫る |
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■TPPで輸出は伸びない
TPPについて、内田さんは日米のグローバル化した一部の大企業にとって大きな利益をもたらすことは明らかとしつつ、「その代償として、私たちがどれだけのものを犠牲にするか。農業、医療、保険、雇用、地域経済など、さまざまな悪影響がある」と指摘します。
すべての品目で関税を撤廃するという、極めて自由度が高いTPP。「結果、安い商品・サービスが大量に流れこんでくるだろう。果たして安ければよいのか。遺伝子組み換え、農薬や添加物を多用した品を選択するのか、という問題だ」。
また、推進派が日本の産品の輸出競争力が高まると謳っている点については、「日米を除き、参加国の経済規模は小さい。中韓、人口の多いインドネシアも不参加。つまり輸出先となる市場がない」。
■“聖域なし”がTPPの常識
一方、マスコミ報道は全くだめだと切り捨てる内田さん。「TPPを知ろうとしていないし、政府の発表をそのまま流し、批判的検証の視点があまりに弱い」。
例えばコメや砂糖などの5品目の関税を“聖域”として交渉で守ると言われていますが、他国の報道や交渉官によれば「すべての品目で関税ゼロにすることを日本は同意しており、それはない」との応えが返ってきます。「これが常識。交渉で何か勝ち取るというのは国内向けのウソ」と断じます。
■人々は単なる消費者に落とし込められる
TPPの最大の問題点として、内田さんは「人にとっての命や生活より、企業の利潤が優先される。人々は安いものを買ったり民営化されたサービスを受けるただの消費者として位置づけられる、社会や国のかたちが変えられていくことが、最大の危険」と指摘しました。
■若者に権利教育を – ブラック企業への対抗軸
もうひとつのテーマはブラック企業。これら企業では、長時間・過密労働、いじめ・パワハラなどが常態化しています。
ブラック企業をノミネートする「ブラック企業大賞」の企画委員を務める内田さんは、あらゆる業態でそれが広がり始めているとします。大賞には学生が就職したいと思うような、有名企業がずらりと並びます。
雇用契約と実際の業務が違う、残業代が出ない、研修と称して休日にボランティア活動をさせられる。そういったことがひとつでもあればおかしいと思うこと、また「先輩や上司の働き方を見て、自分がここで働き続けることはできるのか考えて見ることも必要」。
内田さんは「今の若者は労働以外でも権利教育を受けておらず、法律で定められたそれらを知らない。新卒でブラック企業に入っても、声を上げられず自分が悪いと感じる。小学校からそういった教育が必要」と強調しました。
■原発なしで電力は足りる – 小出裕章ジャーナル
暑い日が近づくと、さかんに電力不足や節電の必要性が叫ばれます。小出さんは「即刻すべての原発を停止しても、電力供給に支障はない」ときっぱり。
昨年夏の大飯原発3・4号機再稼働の際には、わざわざ火力発電所を止めて原発の必要性を演出しました。「年間の稼働率でいえば、5割にも満たないというほど。つまり、半年以上は火力発電所を止めておかなければならないほど、火力発電所が余っていた」と明かします。
その上で、原発でなければ電気料金はもっと安価であったとしつつ、「電力不足は政府や電力会社、原子力産業、マスコミによる原発の宣伝だが、原発推進は変わらない。原子力ムラが無傷で生き延びていしまっている」と指摘しました。
■インドネシアでのコミュニティ局
当番組を放送する兵庫県のコミュニティ放送局「エフエムわいわい」の日比野純一さんに電話をつなぎました。日比野さんは、火山噴火や地震・津波などの大災害が多いインドネシアにおけるコミュニティFM放送局の設立支援について携わっておられ、その活動の内容をご紹介いただきました。
ゲスト略歴
内田聖子(うちだしょうこ)
アジアにおける自由貿易の地域研究などを行うアジア太平洋資料センター(PARC)の事務局長。主にネット上でTPPの問題点や危険性を発信している。5月17〜23日、アメリカのNGO「パブリックシチズン」のメンバーとして、TPP交渉の場となった第17回ペルー会合に利害当事者の立場で参加。
- リマ会合では何が決まったのか、何が決まらなかったのか―やはり危険な日本の参加(内田聖子ブログ)
- TPP(環太平洋経済連携協定)(Wikipedia)
- 考えてみよう! TPPのこと
- TPPに関する主要閣僚会議(首相官邸)
- サルでもわかるTPP(プロジェクト99%)
- ブラック企業(Wikipedia)
- ブラック企業大賞
- ブラック企業大賞2013にノミネートされた会社リストまとめ(GIGAZINE)